制約がドラマを生む「門外不出モラトリアム」
普段演劇というものに縁のない生活を送っているので、ぼくが演劇を語るなんておこがましいのだが、演劇というのはとかく不自由が多い。
まず舞台。小説や映画、漫画だったら舞台は自由自在だが、演劇はそうもいかない。
それに、時間の流れ。これも、ほかのフィクションなら自由自在だ。勝手に一秒を引き伸ばしたり、十年を一瞬で飛ばしたりすることも可能だ。
続けて、カット。今、どこに注目するべきか、演劇の場合アテンションを観客に向けさせるのが難しい。カメラはズームか?パンか?なんて選べない。
ヒロインの持っているナイフに注目してほしい時はどうすればいい?スポットライトを当てるか?それとも周りにリアクションしてもらうか?
ただ、その「不自由さ」が逆にドラマを生むこともある。
特に今は新型コロナの蔓延によって世界全体が「不自由さ」の中にある。そんな中で、オンラインでオーディションし、稽古し、公演まで行う、いわば「フルリモート劇団」である、劇団ノーミーツの旗揚げ公演「門外不出モラトリアム」というものがあると知り、観劇してみた。
以下、感想は若干のネタバレを含むかもしれないので注意。
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