ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

難しい本は読むな!?「ひと月百冊読み三百枚書く私の方法」

せっかく本を読んでも、読みっぱなしというのはよくない。本をよく読んでも考えなければ血肉にならないですよね。どんなふうに本を読めば、それを効率的にアウトプットすることができるのだろう?と思って手にとった一冊です。

 

 

著者の福田和也さんという方は、題の通り、ひと月に百冊読み、三百枚の原稿を書いているそうです。月に百冊といえば一日三冊ペースで読んでいることになりますが、速読は使ってないそうです。とんでもないペースですよね。

本書は大きく分けて、読むこと(インプット)と書くこと(アウトプット)の2つの段落によってなっています。

まずは、読むことについて。

1.目的を持って読むこと

これが最も重要なことだそうです。なぜこの本を読むのか、念頭において読む。

2.全部、スミからスミまで読もうとしないこと

目的がわかっていれば、話題が目的とそれてしまったとき、遠慮なく飛ばしてしまえ、ということだそうです。あるいは、あらかじめ目次をみておいて、目的に合致した部分だけを読む。

3.難しい本は読まない

難しいと感じる本にはそもそも苦労して読んだとしても得るものは少ないから読むべきじゃないんだそうです。さっさとなげだしちゃったほうが、効率がいいんだとか。

4.抜き書きをする

引用したい、メモを取りたいと思ったら、すぐにメモ帳を取るんじゃなく、本の上端を折っておく。通読後、もう一度上端を折ったところを読み直し、重要だと思ったら下端を折る。そうして、下端を折ったところの、特に自分が重要だと思う文章をメモ帳に抜き書きするんだそうです。通読時にいきなりメモ帳をだして書いていると、読むリズムが崩れるからいけないのだそうです。

次に、書くことについて。

「理想が月並平凡であり、写生は多彩多様」だという正岡子規の言葉を引用して、

「理想」は一見現実の拘束を受けない自由を楽しんでいるように見えて、実は既成のイメージなり、パターンに強く拘束されているのだ。むしろ、眼前の現実に目を向けなさい。よく見れば見るほど、その見慣れたはずの事物が初めて見るような奇怪かつ奇妙な姿をしていることに気づくのではありませんか。

と説明していました。なるほど。

また、おなじ文脈で小林秀雄の言葉も引用していました。

花の美しさなどというものはない。美しい花があるだけだ

これは大変参考になりました。花の美しさを説明しようと思うと陳腐で画一的な言葉しか出てきませんが、美しい花を説明しようとすればディテールは人の興味を惹く魅力的な文章になることでしょう。

本は読むんだけど、読み捨ててるのはなんだか、もったいない、と感じている方にはオススメの一冊です。