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ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

浦沢直樹「プルートゥ」の感想

 

浦沢直樹プルートゥAmazonでまとめ買いして読みました。
 
プルートゥは、鉄腕アトムの「地上最大のロボットの巻」をリメイクしたものです。浦沢直樹らしいシリアスでより複雑な構成の話になっています。
 
細部がかなり異なっているものの、大きな筋としては同じです。
 

あらすじ

スイスのスーパーロボット、「モンブラン」が何者かによって破壊され、ドイツのロボット刑事、「ゲジヒト」が調査に乗り出します。元ネタでは数ページしか登場しなかった、このゲジヒトを中心にしてプルートゥは展開して行きます。
ゲジヒトは、見た目はほとんど人間と変わりませんが、あらゆる電磁波を遮断するゼロニウム合金で全身を作られ、腕からゼロニウム弾や催眠ガスを出すことができ、人間の嘘や、ロボットか人間かを判別する機能がついている高性能なロボットです。その他、もちろん日本の「アトム」、トルコの「ブランド」ギリシアの「ヘラクレス」オーストラリアの「エプシロン」スコットランドの「ノース2号」と、原作と同じキャラクターが登場します。ただし、これらのキャラクターのデザインは、手塚版とは変わっています。
 

プルートゥは、しりすぼみ?

 
浦沢直樹の作品は、前半部分でどんどんスケールの大きな作品になりそうな伏線をバンバン張りまくるものの、あとでしりすぼみになってしまう、というのが個人的な感想でしたが、やはりこのプルートゥでもそんな印象があったので、なぜなのか考えてみました。
 

回収されなかった伏線がいくつかある

 
テディベア型の人工知能は、なんなのか?ブラウ1589が犯した殺人事件とは一体なんだったのか?
重要だと思われたこれらの伏線は結局十分に回収された感がありませんし、ビルとビルの間を飛び移る「人間」とは一体誰だったのか?など、細かい所の伏線も、何だかよく分からないままといった印象です。引っ張るだけ引っ張って、回収されなかったという感じです。ただ僕が読みこぼしているだけなのかもしれませんが。
 

本筋と関係のないサブストーリー

 
さらに加えて、ゲジヒトの改竄された記憶も実は本筋と全く無関係だった、というのもまずかったと思います。あのエピソードはプルートゥとは直接関係がなく、実はあのエピソードをごっそりなくしたとしても物語は成り立ちます。ミスリードだといえばそれまでですが、なんとも釈然としない気持ちになったのは確か。。。
これが本筋と絡むものであれば、もっとよかったのですが。
 
しかし、偏屈なピアニストのオーナーとの心の交流を描くノース2号のエピソードなど、細かいサブエピソードは本当にていねいに作り込んであって、感動的でした。
 
読んで損はない、怪作であることは確かです。