ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

物語として見たときの「ラストサムライ」の問題点

 

トムクルーズ主演のラストサムライハードオフで安かったので買って観ました。
ハリウッドが武士道という日本人でも解釈の難しい概念を理解しようと本気で挑んでいることには好感がもてました。例え映画のなかの日本にちょっと違和感があったとしても、そこはまあ、ご愛嬌ということで。
誇りを失った男が徐々に己の自尊心を回復していく話は、僕も大好きなジャンルの話のひとつです。
納得は全てに優先するのだと、ジャイロさんも言っています。
 
イマイチ影が薄い?オールグレン大尉
では、物語として見たときの「ラストサムライ」はどうなのか?と考えると、主人公が物語に与える影響度が低いという欠点があると感じました。
勝元は、主人公のオールグレンがいなくても合戦を決行して敗北しただろうと思います。負けるとわかっている戦であっても、おのれの信義のためには戦わなくてはいけない。いわゆる負けの美学というやつですね。
オールグレンがいたことで確かに奮闘はする(政府軍の軍備や戦力、戦術を知っていたため、戦術に関して助言をしていた描写がある)かもしれませんが、勝利には至っていません。まあ、万が一勝っていたら負けの美学が成立しませんしね。
 
それが脚本家の方でもわかっているのか、戦でオールグレンを死なせず、勝元の遺した刀を天皇に献上するシーンがあります。
それによって日本はアメリカとの契約を白紙に戻すわけです。しかし、戦の最後に、ガトリングガンで結構な数の銃弾が命中して完全に致命傷を負ってる感じだったのにオールグレンはわりと元気そうだし、アメリカとの契約の話をこれまで一切していなかったので、ええと、それってなんだっけ?って感じでした。契約が成立すると、何が起こるのか?それを阻止するということは、何を意味するのか?を明示できていればより良かったのではないかと思います。
 
しかし、トム・クルーズ真田広之も、殺陣がかっこよかったです。