2021-01-01から1年間の記事一覧
Wikipediaによれば、フランスでは出世のためならどんな手段も使う野心家のことをこの小説の主人公の名前をとって「ラスティニャック」と言うらしい。なんとなく出世という言葉からは金持ちになることだったり、会社で重要なポストに就くことだったり、みたい…
「忘れられた巨人」以来、六年ぶりとなるカズオイシグロの新刊「クララとお日さま」。本作の語り手は人工知能を搭載したロボットの「クララ」。彼女は子どもの情操教育のために創り出された人工知能で、その身体を動かすためのエネルギー源は太陽光、つまり…
椿姫を読むのはもう何度目かで、だいたいの筋は知っていたので、今回はマルグリットという女性はいったいどういう人物だったのだろうかという視点で読んでみた。 ものすごくかいつまんでこの小説のあらすじを説明するなら、この小説はパリで高級娼婦として暮…
「かもめ」という戯曲はふたつの大きな謎があると思う。まずは、チェーホフはかもめを「喜劇 4幕」として書いたそうだが、筋として見ると全体的に暗くて救いのない話だ。読まれた人はこの戯曲のどこが喜劇なのか、と頭を悩ませるかもしれない。それともう一…