ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

東でも西でもないアメリカ 「グリーンブック」

1962年、黒人は白人のいる病院、バス、電車、レストランなどに入れないという人種差別的内容を含んだジム・クロウ法が有効だった時代のアメリカ南部。そのアメリカ南部をあえてリサイタルツアーで旅する黒人の天才ピアニストの「ドク」と、彼の用心棒兼運転…

神は死んだ 「最初の悪い男」

最初の悪い男、とは一体誰のことだろう?この小説のタイトルになっているこの言葉のことを考えながら読んでいると、作中でそれらしい記述があった。 「最初の人だよ 」と彼女が言った 。 「デニムの ? 」 「最初の悪い男 」言われてみれば 、そういう立ち方…

無常への儚い抵抗 妊娠カレンダー

そのままを維持したい感情と何者もそのままではいられないという現実 小川洋子を読むのは博士の愛した数式に続いて2冊目である。だから、まだまだ彼女のライトモチーフを語るほどには読み込んではいないのだが、今回彼女の小説から感じたのは、変化への拒絶…

「本質」はどこにある? バーニング

村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作にした映画「バーニング」を見てきましたのでその感想を書きます。 テセウスの船というギリシャ神話に基づく有名なパラドックスがある。ファレロンのデメトリウスの時代からあるとされる希少価値のある30本の櫂を持つ…