ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

コンビニ人間は交換可能人間

 コンビニに期待することってなんだろうか?

 喉の渇きを癒やすコーラが売っていること?空腹を満たすおにぎりが売ってること?ATMでお金をおろせること?

 コンビニに要求されることは、大抵の場合どのコンビニに入っても満たされる。セブンイレブンがなかったら、たぶんローソンでもいい。ましてや、セブンイレブン◯◯店じゃないとダメだ、なんてことは、ほとんど無いだろう。

 ひとつのコンビニが始めたサービスは、他のコンビニも追従する。全国展開しているコンビニは、均質なサービスを提供するためにマニュアルを整備する。コンビニはいつでも、どこでも交換可能な存在だ。じゃあ、「コンビニ人間」は?

 2016年の芥川賞を受賞した「コンビニ人間」は、すなわち、「交換可能人間」のことだ。彼女を笑ってる場合じゃないかもしれない。なぜなら、僕達もいつの間にか「交換可能人間」になっているかもしれないのだから。 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 

続きを読む

夢を諦めるとき ドラマ火花の感想

 

 原作を家族で回し読みして、母親にせがまれるかたちでNetflixを契約して火花を見た。正直期待してなかったけど、すごく良かった。

 火花は芸人になる夢を持った若者たちの話だ。芸の世界は有名になって食べていけるのは一握りという狭き門。火花で描かれているのは若者たちの栄光と挫折だ。

 諦めずに頑張れば、夢は必ず叶う。
 僕が子供だった90年代のJ-POPはそんなメッセージをしきりに歌っていた。
 ピースの又吉直樹さんは現在35歳で僕は現在32歳。まあ、同年代といえるので、きっと同じ空気感の中で育ったと思う。

 諦めずに努力すれば、あの娘に振り向いてもらえるし、並み居る強豪校とも渡り合っていける。僕たちが子供時代を生きたのはスラムダンクみたいな努力、友情、勝利の時代だ。

 でもいつか僕たちは気がつく。全員がエースで4番になれるわけじゃないし、インターハイに出場できるわけでもない。他の選手だってがんばっているんだし、親から授かった体格も才能も大きく違う。夢をつかむ人間よりも、諦める人間のほうが圧倒的に多いだろう。
 じゃぁ、夢を諦めるときって、一体いつなんだろう?

火花

火花

 

 

続きを読む