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ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

勇気とは一体なにか?「鉄腕アトム 3 アルプスの決闘の巻」

 

恐怖を我がものとすることじゃ!
 
というわけで、鉄腕アトム3巻のアルプスの決闘の巻を読みました。
 
言わずと知れた名作、鉄腕アトムKindle化されているので、少しずつ読み進めています。
 
一巻、二巻はいかにも子供向けって感じで、荒唐無稽な展開の内容が多かったのですが、ここにきて考えさせられる内容の話が出たので、エントリーを書きました。
 
あらすじ
友だちのケンちゃんたちとキャンプに来たアトム。キャンプファイヤーでケンちゃんが、ハーモニカの演奏をして他の友達はみんなうっとりその演奏に耳を傾け、犬までも演奏に聞き入っているのですが、アトムには音楽の良さというものが分からず、落ち込んでしまいます。
お茶の水博士にそのことを相談すると、初めは断られるものの、しょんぼりするアトムに根負けして、人工の心臓をアトムに移植します。
そのおかげで、花の美しさ、音楽の素晴らしさに気がついたアトムは大喜び。しかし、それは同時に、恐怖心というものが芽生えた瞬間でもありました。アトムは、大きな物音に驚き、怯え、強大な敵のロボットを目の前にして立ちすくみ、一歩も動けなくなってしまいます。
 
花の美しさは生命の美しさ
 
生きることの素晴らしさがわかるということは、死への恐怖が分かることとトレードオフだったのです。
 
もちろんそれは手塚の解釈ですが、儚いものを愛でる気持ちというのは、人生が有限であると知る者にのみ与えられるギフトなのかもしれません。その辺りの美的感覚が日本的ですごくいいと感じました。
いわゆる、無常の美学とでもいうべきものです。
盛者必衰の理。地上最大のロボットでもこの辺りのところがテーマになっています。所詮、力で得た権力や信頼というものは、力によって奪われてしまうのです。
いろいろと実生活においては問題のある天才肌だった手塚先生ですが、子ども向けのアトムにもこうして考えさせられる内容の話が描かれていて、感銘を受けました。
アトムの弟、コバルトとの決闘も描かれているこの三巻、なかなか読み応えがありました。