ほんだなぶろぐ

読んだ本、漫画、見た映画などについてのレビューを、備忘録を兼ねて行っております。

シンプルイズザベスト「All you need is kill」

 

All you need is kill は、トムクルーズ主演でハリウッド映画化されたライトノベルです。全体を通してシリアスでハードな展開が続きますが、会話とかはいかにもライトノベル、といった感じです。つまり、キャラクターのリアリティよりも萌えやテンポを重んじる感じ。
 

あらすじ

異星人がテラフォーミングのために地球に送り込んだ土木作業用のナノマシン棘皮動物(ウニとか)に取り込まれることで人を攻撃するギタイという生物になり、人類を駆逐しようとしていました。対する人類は、機動ジャケットという人間の力をサポートするパワードスーツを開発し、ギタイとの戦いを繰り広げていました。
主人公のキリヤケイジは、初年兵としてギタイとの戦闘行動を行いましたが、強力なギタイの前に、あえなく戦死。そして、目が覚めると出撃前日に戻っていました。どういうわけか、キリヤケイジは、死ぬと出撃前日に戻るというタイムリープに組み込まれてしまったのです。
 
物語はシンプル。だが、それがいい
 
まるで、ゲームのような、というのがしっくりくる小説です。何度も死に続けるというのははっきり言って筆舌に尽くし難い経験ですが、死んだらコンテニューというのはゲームに親しんだ世代にとっては馴染みのある世界観です。
主人公を動かす原動力も、シンプルです。「生き延びたい」という極めて原始的で、力強い欲求によって物語が転がって行きます。初めは逃げたり、自殺してみたりと、逃避ともとれる行動を起こすところも人間らしくてリアリティがあります。
最終的には敵と戦い、勝つことでしかこの地獄から逃れる方法はない、と気がつき、訓練を重ねます。
機動スーツの出力がオペレーターの筋力と比例関係にない、というのも設定として生きています。
どんなにトレーニングしても、前日に戻れば身体は元通りになるため、勝敗を分けるのは身体の動かし方や、武器の使い方の熟練度、というわけですね。
 
巻き込まれ型の主人公で、初めは生き延びるということで精一杯ですが、徐々にタイムリープを利用して強力になるにつれ、ヒーローとしての自覚が芽生え、より大きな目標を設定していくところも、読み応えがあります。
 
会話がライトノベルしてる感じなのがちょっと慣れない感じでしたが、一般の小説をよく読む人でも楽しめる作品だと思います。
特にSF好き、ゲーム(FPS)好きにはたまらない内容じゃないかな、と思います。